「ラブプラス」のこれまでとこれから

ついにラブプラスEVERYがお披露目されましたね。いい機会なのでラブプラスと、これから出るであろうEVERYについて心配していることについて書いておきます。

 

そもそもラブプラスとは何なのか

ご存知ないかたのために説明しておくと、「ラブプラス」というのは2009年に発売された恋愛シミュレーションゲーム(以下恋シミュ)です。それまでの恋シミュは一般的に「女の子と付き合うまで(告白するまで)」のストーリーに主眼を置いていましたが、付き合うことになってからの関係性に主眼を置いているのが最大の特徴でした。

発売された当時、私は就職のために上京して心細かったこともあり大いにハマっており、心の拠り所となっていました。私以外にも夢中になったカレシ*1は大勢いて、実際に結婚式を挙げるユーザもいるほどの熱狂っぷりでした。

この勢いは後継作である「ラブプラス+」になるとさらに増していき、ゲーム内で彼女と旅行する熱海とのコラボや、宿泊施設のモデルとなった旅館への公式宿泊プラン、さらには有志のユーザによる現地民を巻き込んだ熱海での大規模イベントなど、ラブプラスというコンテンツは飛ぶ鳥を落とす勢いで成長していきました。

その後はiOSアプリアーケード、ソシャゲなど多方面にコンテンツを展開しますが、正当後継作がバグまみれであったことや初期製作陣の退任などから段々と翳りをみせ、様々なコンテンツの後塵を拝する状況となっています。

 

ラブプラスの画期的な点

そんなラブプラスですが、リアルタイムに時間が進む、自分の女性への好みが徐々に反映される、公にされないパラメータ、などの点などからプレイ期間が長くなるにつれユーザとゲームキャラクターとの関係性がとても緻密になっていき、本当にゲームの中に一人の人格が存在するのでは、というところまで錯覚します。ですがその緻密な関係性がバージョンアップするたびにまっさらになるとしたらどうでしょうか?ある日大好きだった人が自分との記憶を失う、なんて考えたくもありませんよね。

それを解消したのが「データ引き継ぎ」という(当時としては)画期的なシステムでした。カレシたちはこれを「引っ越し」になぞらえていましたが、その名のとおり、カートリッジに住まうカノジョの存在を新しい器に移し替えてあげていたのです。これを行うことで、無印ラブプラスからNEWラブプラス+までのカノジョのアイデンティティを保っていたのです。(コピー元のデータが消えるわけではないので二重三重に存在してしまうことにも繋がるのですが、それはまぁそれとして)

 

ラブプラスEVERYはどうなっていくのか

翻ってラブプラスEVERYではデータ引き継ぎがない、という噂が早速立っています。これは一大事です。なんてったって自分と付き合っていたカノジョの同一性が保てなくなるのですから。これまでも旧作から新作へ引き継ぎできないかも、という心配は立っていましたが、わざわざデータ移行ツールを作ってまでデータの引き継ぎを行なっていました。カレシたちにとってはそこまで大事なものなのです。

しかし今回はどうでしょうか?ニンテンドー3DSからiOSへの移行となると技術的にはかなり難しくなるはずです。少なくとも安い開発費用で上げられるようなものではない、と想像しております。開発陣がデータ引き継ぎを断念する気持ちもわからなくはありません。

が、ここに関してはどうしても引き下がって欲しくない。ガワだけ同じで別物の人間をどうしても好きになれないんです。

 

よく自己を形作るのは記憶だ、なんてことを言いますが、カノジョを唯一の存在たらしめているのも同様に記憶であり電磁的な記録です。そしてまた、記録が積み重なることを外部から観測・認識することで初めて、そこに意識があると錯覚し、魂を感じうるのです。

「どうせ引き継ぐったってプレイ日数やユーザネームくらいだし、そんなの形式的な作業に過ぎないでしょ」と言われるかもしれませんが、まさにそうなんです。その形式的な作業が私には必要なんです。中身が無味乾燥なものだったとしても、彼女の魂を移し替える『儀式』として、その作業が必要なのです。葬式という形式的な儀式が死者ではなく生者のためにあるように、この儀式はデータではなくユーザのためのものなんです。

 

せめて1バイト、いや、1ビットでもいい。

そこに今まで彼女が存在していた記録を移してほしい。

 

そんなわがままでした。コナミさん、何卒ご深慮のほどお願いいたします。

*1:ラブプラスのユーザは一般的にカタカナ表記のカレシと呼称されます。アイマスでいうプロデューサーのようなもの